高齢化の進む日本社会で、パソコンやスマホを巧みに操るシニアが増えています。しかし一方で、「使わなくても生活に困らない」という人も少なくありません。
パソコンやスマホを学ぶことがシニアの健康や認知症予防に役立つというお話しをご紹介します。
「高齢者がパソコンを使うことは脳の刺激になる」というのは、何となくイメージできますが、実際に示した研究結果があります。
「パソコンをよく使う高齢者ほど、記憶中枢の海馬の容積が大きい」。(米国オレゴン健康科学大学)
「海馬」とは、脳の記憶をつかさどる場所で、認知症などとも深い関わりのある部分です。1日にコンピューターを使用している時間が長いと、海馬が委縮せずに活発に働きます。そのため、認知症の発症リスクを低下させ、ボケ防止にとってプラスに働いたとみられています。
パソコンを学んだり、使用していると、意識せずとも様々なことを記憶しなければならず、それが自然と脳への適度な刺激が起こることがわかっています。
出典:厚生労働省老健局平成元年6月20日 「認知症施策の総合的な推進について」を加工して作成
ラインやフェイスブックなどのSNS(交流サイト)は、文字が中心のコミュニケーションのツールで、お友だちや知り合い、ふだん会うことがむずかしい遠くの人たちともつながれます。
じぶんの投稿に「いいね」やコメントをもらうことが、ちょっとしたよろこびになって、孤独感が小さくなり、認知症の原因になる老人性うつなどの予防にもつながります。
人と人とのコミュニケーションは、相手の感情を読み取ろうとしたり、相手の発言の真意を理解しようとしたり、脳をフルに活用するものですから、認知機能の向上にもつながります。
年齢階層別ソーシャルネットワーキングサービスの利用状況 (総務省|令和2年版 情報通信白書)
以前から、パソコンやスマホでネットを活用できるシニアは、使えない人と比べて、社会参加の機会も多く、友人も多い。動画サイトやSNSの利用で、生活の質も向上しているといわれています。
コロナ禍で、ワクチン接種の予約もネットがいちばんつながりやすかったということは記憶に新しいことですが、行政も民間もあらゆるサービスの申し込みや相談、お金の支払いがオンラインに移行していきます。諸外国と比べて日本は遅れているといわれ、政府も普及を急いでいます。
もし、本人や家族が介護者になったら、移動や外出がむずかしくなってしまいますから、テレビ、ラジオ以外にネットからの情報は欠かせません。
パソコンを使うことで人生がゆたかになります。
認知症予防は同じ目的を持った仲間と一緒に行うことで、他社との交流が実現されてより高い効果が期待できるほか、長続きしやすくなります。
パソコンの操作をマスターすることが最終目的ではなく、人生を豊かにするための「卒業のないパソコン教室」。
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